かぼちゃねこ日記

アメリカから見えるもの。考えたこと。

日本語補習校〜目的の異なる子供たちが共に学ぶ難しさ

「学力の経済学」を読み始めた。

本の中に「習熟度別学級」の話が出てきたので、日本語補習校について気になっていたことを書いてみる。

日本語補習校では、普段は海外の現地校に通っている子たちが週に1回、日本語で教育を受けることができる。

週に1回3時間という限られた時間なので、国語と算数のみを日本の教科書に沿って教わる。
補習校に通っている子供たちは大きく2通りに分けることができる。
一つは永住組、もう一つは駐在組。

永住組は現地に永住予定で、日本で今後暮らす予定はない。
お父さんは現地の人、お母さんは日本人という家庭がほとんどで、家の中で話すときは英語、もしくはお母さんと話すときは日本語にするようにしている、けれど英語のほうが話しやすくて結局英語中心になっているということも多い。
補習校に通う目的は、「お母さんの母語である日本語の読み書きが子どももできるようになってほしい」ということが多く、日本語は第二言語の位置づけだ。

駐在組の多くはお父さんの仕事の関係で現地の滞在は数年で、今後は日本で暮らす予定。
家の中は日本語で、補習校に通う目的は、日本に帰国したときに学年相当の学力がついていること。

このように通う目的の違う子供たちが一緒に授業を受けることが果たしていいことなのか。
小学校低学年はなんとかうまくいっているように見えた。
自分とは違う環境の子と一緒に過ごすことも双方にいい影響があると思えた。
しかし、段々と漢字が難しくなってくる小3になってくると、どちらにも辛いのではないかと感じることが多くなってきた。
学年相当の漢字を読むことが難しく、漢字にルビを全部書いてあげないと教科書を読むことが難しい子と、日本の大都市の公立小学校レベルを求める子が同じ教室で同じ授業を受ける。
先生も目的の違う子供たち相手に、3時間で日本の1週間分の内容を教えなければならず、大変そうだ。


結果、小学校高学年になると辛くて補習校を辞めてしまう永住組の子が多いそうだ。
だからといって駐在組が求めている日本の学年相当の学力をつけることができているかというと、そこまでは達していないのが現実だろう。
結局どちらを求めるにしても中途半端になってしまっている。
永住組はせっかく日本語を身に着けようと思っても、読めるのはひらがなカタカナ易しい漢字どまりでドロップアウト、駐在組は週一回補習校に通うプラス通信教育をやらせないと日本に帰った時に困る、というのが現状だろう。

現地校のように日本語が母語でない子にはESLの先生がついて特別授業を行う、もしくは授業中にサポートをする等の形にしたほうがよいのではないか、そこまでの予算が割けないのであれば、小3以上は習熟度別の導入が望ましいと思う。
ひらがな、カタカナ、漢字の習得をして、日本語での読み書きをできるようにするクラスと、さらに文章読解や作文、日本の学年相当の算数に力を入れるクラスがあれば双方共に目指すものが手に入れられるのではないだろうか。

ちなみに我が家は現地校の授業についていくのがまずは大事、と日本語は補習校のみにしていたらこれは結構やばいかも、、と気づいて、とりあえず今年の夏休みは漢字の復習と読書強化の予定である。
小4からは通信教育やらせないとまずいかな、作文も全く学年相当といえない感じである。
日本を3年離れて気を抜くとこうなるのねー、という悪い見本みたいになっている。。

 

「学力」の経済学

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