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かぼちゃねこ日記

アメリカから見えるもの。考えたこと。

地方出身長男が背負う重圧

親や親戚が知ってるような大企業に入らないとだめなんだ、と彼は言った。

就活シーズン。同期の中で真っ先に内定を獲得した彼に、おめでとう!とお祝いの言葉をかけていた時だった。

彼は地方都市の農家の長男で、ご両親は当然地元に帰ってきて跡を継いでくれるものだと思っているという。
どんなに技術力がある会社で、大学院でやってきた研究内容と結びついている仕事ができたとしても、親や親戚が名前を知らない会社であれば、地元に帰ってこいと言われる、と。
東京に残りたければ、親や親戚や誰もが名前を知っている大企業に入らなければご両親を説得できない、と彼は言っていた。


また別の彼の話。

彼の地元で行われた結婚式の祝辞で「彼は大変優秀なので、今後はぜひ海外で大きい仕事もしてもらいたい。」と上司が挨拶した。
彼もまた地方都市の家の長男だ。

おめでとうございます、と彼のお父様に挨拶に行くと、「今、東京に連れてかれちゃってるのに、海外だなんて、、。」と絶句されていた。
優秀だから海外勤務も、と上司はほめ言葉で言ったつもりが、お父様にとっては長男を自分や地元からどんどん引き離そうとする会社の上司、にうつっていたようだった。


これらは東京出身で、好きなことしなさい、と育てられた私には今まで見えたことのない世界だった。
20代や30代の彼らが背負っているそれは、かなりずっしりとした重みがあるのだった。

長男だからとか、そんなことは親の世代の話でしょー、と20代の私は信じていたし、自由に職業や住む場所を選べるのは当たり前でしょ、と思い込んでいた。
彼らだけではない、皆、それぞれに事情がある。
大企業狙いはミーハーだから、安定を求めているから。地元志向は挑戦をしたくないから。そんな風に分かったような顔をして簡単に言い切ることはできない。


それでも。
若者にそんな重圧をかけたくない、と私は思ってしまう。
せめて自分の子どもには、寂しいから地元にいてくれとか、大企業でないと許さんとか、国際結婚反対とか、そういうことは言いたくない。自分のことは自分で決められる自由を手渡したい。
そのためにはまずは自分が自立し、そして子どもたちも自分の力で自由に歩けるように育てたい。