「岡村靖幸 結婚への道」
まずはじめに。私は岡村靖幸ファンではない。
だが、この本をふと手にした私は、あまりに面白くて一気読みしてしまった。
まず、装丁がピンク…!
全面ピンクだ。
それもゆるふわ愛されピンクじゃなくて、ショッキングピンクだ。
かっこいい。
この装丁が気になって、私はこの本を手に取った。
そして、インタビューを受けている人達が豪華すぎる。
この人の話を聞いてみたいな、どんな考えを持っているのだろう?と気になる人選だ。
さらに、岡村靖幸が綿密に下調べをしていて、博識で、突っ込み方も切れ味するどく、素晴らしいインタビュアーなのだ。
最後のほうになるとこの研究熱心で全く結婚する気配がない岡村ちゃんが好きになってくる。
私の岡村ちゃんの記憶は、10年前位、フェスで2回ほど見かけて、すごく太った人がすごく激しく踊っていた、ということと、音楽誌で「1人で電車に乗って出かけられるかな?」みたいな連載をしていたということで、とりあえずどちらもこんな素晴らしいインタビューができる人だということに結びつかなくて、私の中の岡村ちゃん感はガラリと変わった。(それに痩せた…!)
本文中に、阿川佐和子の「聴く力」みたい、というくだりがあるのだが、実際、そういったインタビュアーの人達と同じような聞きだす力があって、読んでるこちらもぐいぐい引き込まれていく。
それにこの「結婚」というテーマ。
ありがちなテーマと見せかけておいて、実はすごくプライベートなことについてその人の考え方をさらけ出すことになっている。
なりゆきですよ勢いですよ、みたいな人もいれば、結婚という制度自体を疑うべき、という人もいる。そういう常識を疑ってかかるべき!という人は文筆家に多くて、私はやっぱり文章を作り出す人の考え方は好きだな〜、と思った。
さらに子供が産まれちゃうと奥さんは自分のことを見てくれないから嫌、と子供を持つ私から見れば「何甘ったれたこと言ってんだ!お前も育児しろ!」的なことを話す人もいて、本当に千差万別だ。
読んでいくうちに、自分はこういう考え方好きだな、とか、この人の考えは理解できない…とか思うようになって、段々自分の結婚観や価値観があぶり出されてくるのも面白いところ。
一味違うインタビュー集が読みたい人におすすめ。