「保育園義務教育化」古市憲寿著を読んで
フローレンス 駒崎さんが強くお勧めしていたのでkindleでぽちっと購入した古市憲寿「保育園義務教育化」。
文体が軽く、時々イラッとしたけど(笑)、書いてあることはとても正論で、うなずきまくり。
「母性」とか「3歳児神話」とかいうありもしないものに頼って、母親だけに子育てを押し付けないで、幼児教育を義務化して社会で子供を育てるようにしよう、という提言が書かれていて、とても真っ当だな、と思った。
実感とも合っている。
随所にでてくるデータもとても面白かった。
できれば、何度もでてくる数字は、表やグラフにしてもらえるともっとすんなり目から頭に入ってきたと思う。
あと、子育てのことって結局子育てしてる当人達しか分からないんだよね、と思い込んで勝手に心の壁を厚くしていたけれど、未婚で子供もいない男性がこの本を書いてくれていることに救いを覚えた。
きちんとデータを集めて思考すれば、こういうまともなことを考えてくれる人もいる、と。
育児でほとんど眠れていないお母さんには「母性ってすごい」と称賛をする。
これ、私もすごくプレッシャーで、嫌なこと。
よく「母は強し」とか言われるけど、強くなりたくてなってるわけじゃなくて。
強くないと一人で子供の面倒みられないから、そうしないと子供死ぬから仕方なく強くなってるわけで。
母がか弱くても子供が勝手に育つような仕組みにならないと、もしも母が倒れたら子供も共倒れになってしまうのが現実。
日本社会が「女性化」してるから現代に適応しているという意味で「優秀」とされる女性
という考え方も面白かった。
私はとても男性の多い会社で働いていたが、それでも幹部が「面接してると女性ばかり優秀だ」と言っていた。
それは、女性が男性より能力が優っているということではなくて、社会や会社が今求めているものが、「女性的」なしなやかさやコミュニケーション能力、ということなのね。
(その発言の裏の意味は、でも女性ばかり優秀だと言って女性ばかり取ると、子育てで辞めたり時短取ったりするから、下駄はかせてでも男性を取るんだけどね、という意味だったらしいが。。)
こんな風に「社会は変わってきたんですね」という話を、上野千鶴子さんにしたら「社会は誰かが変えてきたんです。自然現象みたいに言わないで欲しい」と怒られたことがある。
という記述も、胸に刺さった。きっと上野さんは戦いに戦ってようやく女性が権利を勝ち取ってきたのを間近に見たり実践されてきたので、そうおっしゃったのだと思う。
実際にこの本で提唱されている「保育園義務教育化」は、何度も登場する「暑苦しい」駒崎さんのように泥臭くロビー活動したり、上野先生のようにケンカしたりしないと、勝ち取れないものだと思う。
たぶん、ちょっとしたアイディアの積み重ねや、ちょっとした人の行動で、社会は変わっていく。
と軽く書いてあるけれど、きっとそんなもんじゃない。本気で実現したければ、ものすごいパワーがいる。
とてもよい内容なので、提言で終わるのではなく、その道を本気で作っていく、それができるか?どうか?が今後の課題だと思う。
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